注57'. 組織学習の理論

マサチューセッツ工科大学の経営大学院(MBA)の教授、ピーター・センゲは、「学習する組織」と題する書物を出版しました。それは、1980年代末の日本企業を詳細に調査・分析し、成功した企業に共通する特徴を見つけ出しました。それは、成功した日本企業では、その製品が市場に投入されてから報告される様々な問題、使用中に発見される様々な欠陥、利用者から指摘される不具合、生産工程で発見された問題点など、を組織的に分析し、同じ問題の再発を防止する「仕掛け」や「仕組み」、「設計上の注意点」などを抽出して、それらを標準ガイドラインにまとめる努力を惜しまない点です。この組織的な努力が、日本製製品の品質を高めることに大きく貢献していると考え、無生物である組織と言えども、意識的に過去の経験から学ぶ仕組みを備えなければ、21世紀の世界では、発展できないと主張しました。この「組織学習の理論」は、実業家や大企業の経営者の支持を集め、1990年代の後半、実践のための活動が、米国社会の多くの企業で展開されました。著者が勤務していた米国IBM でも、上位のマネジメントから、組織学習の実践法に関する調査研究と、提案を行うようにとの命令が出されていました。著者も、その社内研究グループの一員として、活動しました。

参考になる読み物
ピーター・センゲ著、「学習する組織」、英治出版(2011)。

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